フジ住宅の訴訟と裁判 第10準備書面

フジ住宅の訴訟と裁判に関する書面を、公式ブログから紹介しています。

 

” そして、かかる原告からの指摘および質問に対し、植木副部長は「主戦場」に対する否定的評価が書かれた論説文を資料として送ることによって答えている(丙30の1~2 植木副部長のメール及び添付資料)。このように、植木副部長は、「主戦場」の評価について自らの見解は原告の見解とは異なる旨表明しているものの、原告による見解の表明自体については一切批判等を行っていない。

このように、政治的問題について異なる見解を表明しあえる職場環境において、法が介入して一方の見解の表明を規制する必要はないものであり、またそのような介入は結果として一方の見解に与することとなる危険なものであって厳に慎むべきである。

 

3 日々の業務と直接関わらないことを理由に違法とはなり得ないこと

これまで繰り返し主張してきたとおり、被告会社においては、「明るく元気にイキイキ・のびのびと仕事上も人生上もやってもらう」ことが何より大事で、それがひいては会社の発展につながるという考え方を強く持ってそのための施策を種種実施しているのであり、それが被告会社を大きく成長させた源であり、被告会社の大きな特徴でもある。だからこそ、被告会社においては日々の業務と直接は関係しない資料が配付されることもあるし、「質問表」においても、業務上の悩み等だけでなく、個人的なことでも書いて貰って良いとされているのである。日々の業務とは直接関係がないという理由で資料配付等が違法となってしまえば、それは被告会社の存在自体を法が否定することに等しいのである。

この点、原告自身が、上記質問表において、慰安婦問題を扱ったドキュメンタリー映画に触れてその視聴を勧めるという、日々の業務とは直接関係しない記載をしているのである。これは、自ら好ましいと考える政治的見解から作成された映画を他者に視聴してもらい、理解してもらうことにより、自らのストレスや不安を軽減しようとするものに他ならず、その意味では原告も、日々の業務に直接関わらないことであっても自由に相談してもらえば良いという被告会社の姿勢を理解し、その理解に基づき被告会社の制度を利用しているのである(丙31 植木副部長からの回答に対する原告からのメール)”

 

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” 平成27年(ワ)第1061号

損害賠償請求事件

 

準備書面10

 

令和元年  7月  4日

 

フジ住宅株式会社訴訟代理人

弁 護 士  益  田  哲  生

 

同    勝  井  良  光

 

同    中  井     崇

 

1 被告会社における「質問表」の制度

被告会社においては、社員が「質問表」に質問事項を記入し、上司に提出するという制度を実施している。この「質問表」の制度は、社員が「明るく元気にイキイキ・のびのびと仕事上も人生上もやってもらう」ことを目的としており、業務上の悩み等はもちろんのこと、個人的なことで困っていること、悩み、ストレス、不安等を書いてもらって構わないということになっている。

 

2 自由に自らの政治的見解を表明できる職場環境

原告は、2019年5月7日付けの質問表(丙29)を、直属の上司である植木副部長に提出したが、その中で「主戦場」というドキュメンタリー映画の視聴を勧めた上で、「副部長は、上の人が言うことに疑問や矛盾を感じていないのでしょうか?そのとおりにしていたら、みんな幸せになれると本気で思っていますか?」と問いかけている。

この「主戦場」というドキュメンタリー映画は、慰安婦問題等の政治問題を扱っており、原告の認識では被告会社における「上の人」の見解と対立する立場から描かれたもののようであり、恐らくは原告の見解と親和的な作品であると考えられる。原告は、そのような作品の視聴を上司である植木副部長に勧めた上で、被告会社における「上の人」の見解には疑問や矛盾があると指摘しているものである。

この原告自身が提出した「質問表」の内容がいみじくも示しているように、被告会社においては、ある政治的立場・見解が一方的に強制されてそれに反する見解の表明ができないような環境にはなく、社内で配布される資料等における見解と対立する意見であっても、自由に表明することができる環境なのである。”

 

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”  2 また、被告会社においては、人事評価システムは社員個人の成長を促すシステムであると考え、成長が著しく、意欲・熱意のある社員を正しく査定できるよう制度設計している。

具体的には、上司からの評価だけでなく、同僚や部下からの評価も取り入れる「360度評価制度」を導入し(丙26)、また定期的に役職者を集めて査定会議を行い、公正な査定ができるよう査定評価の在り方について話し合う機会を設けている(丙27 樺山副部長査定会議感想文)。

そして、そのような慎重な評価を経て役職者となった者は、さらに広い視野と見聞が求められ、昇格に伴い教育書籍が配布されている(丙28の1~2 連絡文書)。

 

以 上”

 

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”  3 経営理念感想文の内容については多岐にわたっており、例えば丙21の1の1通目(松山陽一取締役作成)は視察研修会の感想が中心である。その中で、被告今井が配布した「日本で一番大切にしたい会社」について一部言及がある。
2通目(内田裕二社員)は、銀行から被告会社に出向していた内田社員から見た被告会社の特徴であり、その中で「何のために働くか?どういう子供に育てたいか?等は漠然としか考えておりませんでしたし、日本人として誇りを持つという価値観はほとんどゼロに等しかったので、配布いただいた書籍やDVDで一つ一つ勉強させていただきました」との言及がある。
3通目(上野真嗣社員)は、営業を担当して初めて契約に至るまでの経緯が示されており、被告今井が配布した資料についての言及はない。
このように、全社員宛に配布されている経営理念感想文においては、被告今井が配布する資料について言及する記載があってもごく一部であり、その内容を見ても何らかの問題があるようにはおよそ思えない。

第7 被告会社における教育制度・社員教育制度について
1 被告会社においては、社員に「仕事に遣り甲斐、生き甲斐を持ち、プラス思考で明るく元気にイキイキと仕事」をしてもらうことを第一に教育制度を用意している。具体的内容としては、研修制度、会長・社長への質問会、通信教育制度等があり、そういった教育制度の一環として、教育書籍の配布がある(丙26 ホームページ抜粋)。
原告は盛んに配布文書の大部分が「業務と関係のない資料」である旨主張するが、社員が人生のあらゆる場面において自信を持ち、自己肯定感を持つようになってもらう事が国家に貢献できる仕事につながり、ひいては会社の発展につながるという観点からすれば、すべて業務とつながっている。このような形で育成された社員の総合的な力によって、被告会社は現在の成功を見ているのである。”

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” 第5 資料配布や教科書展示会への参加を希望しないと表明した者の数

1 資料配布を希望しないと表明した者の数

全社員宛の資料については、配布を辞退する旨の申し出を行っている社員は存在しない。

被告今井が部門長・所属長宛に配布した文書について、各部門長・所属長が担当部署において配布する際、どれくらいの数の社員が配布を辞退する旨の申し出を行っているかは、会社としては把握していない。

ただし、原告が所属する設計部においては、平成25年11月時点で95人の社員のうち原告を含む12人が配布を辞退している。

 

2 教科書展示会への参加を希望しないと表明した者の数

会社としては、何名が参加を希望しない旨表明しているかは把握していない。しかしながら、相当数の社員が参加を希望しない旨表明しており、実際多数の社員が参加していない。

 

第6 経営理念感想文の配布の方法等について

1 経理理念感想文は、全社員個別に対し、110名分の文書合計2分冊を毎月配布している。

 

2 全社員に配布する経営理念感想文の選定は、被告会社の現代表取締役社長である宮脇宣綱が代表取締役社長に就任した平成21年以降は同人が行っている。選定の基準は、①「真似・イズ・マネー」(良い先達のしていることを真似ることで、自分も立派な人間に近づくことができ、それが業務上の業績向上につながるという意味)、②「活用できる」(書かれていることが、具体性があり、実地に有効に活用できる内容であること)、③「モチベーションアップ」(読んだ人の業務や日常生活におけるモチベーションが上がるような、前向きな内容であること)というものがあり、社内では、3つの観点を「マ・カツ・モ」と呼称している。

原告が本件訴訟で問題としている経営理念感想文も、これを読んだ者が、自身も真似や活用ができたり、モチベーション(そこには会社の名誉を背景とした愛社精神も含まれる)を高めたりできるといった効能が期待できると宮脇社長が考えて選ばれたものなのである。”

 

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”  2 教科書展示会への参加の促しを開始したのは、平成25年である。

教科書展示会への参加促しも、個々の社員によってはその信条に反する可能性があることは会社として認識しており、そのため強制ではないということを繰り返し繰り返し周知している。

原告から甲11の申入れがなされた際は、検討の結果、すでに原告は平成26年以降教科書展示会に参加していないので、特段対応は必要ないと判断している。

 

第4 資料配付のシステム

1 被告会社内で配布する資料のうち、経営理念感想文については、全社員に毎月提出させて、後述するように社長が110名分を抜粋して毎月全社員宛に配布している。

 

2 また、部門長・所属長を対象に被告今井が配布している資料があり、これについては専ら被告今井が配布する資料を決定している。

そして、部門長・所属長の中では、被告今井から配布された資料を自ら担当する部署で配布する者があり、原告が所属する設計部においても植木副部長の判断で配布している。もっとも、原告については平成23年10月に配布不要との申し出があったため、それ以降は原告を配布対象から除外している。

 

3 なお、それ以外にも被告今井が全社員宛に配布する資料があるが、これについては専ら被告今井が配布する資料を決定している。”

 

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” 第2 提訴に関する意見が記載された他の社員の感想文等を社内配布したことの必要性・相当性について

1 この点については、被告準備書面5・14~15頁において詳細に主張しているが、あらためて再度主張しておく。

 

2 被告会社社員から提出される経営理念感想文等のうち、他の社員の参考になったり、有益であったりと被告会社が判断したものについて、全社員宛に配布するということは、従前から行われていたことである。

そのような中、特に本件訴訟が提起された直後と、被告会社が対外的に本件訴訟についての見解を発した直後は、社員にとって大きな関心事であったこともあり、本件訴訟についての感想・意見が書かれた経営理念感想文等が数多く提出された。被告会社としては、このように数多く提出されている本件訴訟に関する記載をあえて全社員配布の対象から外すこともかえって不適当であるし、本件訴訟提起の報道および原告側支援者の活動によって社員に不安と動揺が広がる中(原告側支援者が行った「ヘイト企業」などのレッテル貼り・印象操作によって、これに対抗しなければ社員の士気が大幅に低下し、企業として存続することすらできなくなる可能性があった)、他の社員が本件訴訟について考えていることを伝えることは社員を元気づけるものであるし、被告会社にとっても社員に誇りをもって仕事をしてもらい、士気の低下を抑えるという観点から有益であると考え、その一部を全社員配布の対象としたものである。したがって、本件においては、提訴に関する意見が記載された他の社員の感想文等を社内配布する高度の必要性が存したものである。”

 

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”  2 被告の主張

判例上、退職勧奨そのものは違法ではなく、例外的に社会的相当性を逸脱した態様での半強制的ないし執拗な退職勧奨行為について不法行為が成立しうるとされている(下関商業高校事件-最判昭55.7.10判タ434号172頁、日本アイ・ビー・エム事件-東京高判平24.10.31労経速2172号3頁等)。

この点、当該退職勧奨を違法とする多数意見と適法とする反対意見が3対2で分かれた上記下関商業高校事件は、社会的相当性の逸脱の有無に係る限界事例と考えられるが、同事件は、地方公務員である市立高等学校の教員に対する市教育委員会による退職勧奨が、4か月間に11回あるいは5か月間に13回にわたり、1回あたり20分から2時間強に及んだという事案であった。また、上記日本アイ・ビー・エム事件では、「具体的な退職勧奨の態様の相当性」について、「退職勧奨の期間、回数等」が相当であったか否かに加え、各回における退職勧奨の際のやりとりや、退職勧奨がなされて以降の電子メールでのやりとり等を個別に検討し、相当性の有無を検討するという手法が用いられており、結果として、すべての原告についてその相当性を肯定し、退職勧奨に違法性は無いと結論づけているところである。

この点、本件においては、上記のとおり被告会社は原告に対し300万円の支払いと引き換えに退職するという選択肢を提示したに過ぎず、一度も退職を求めるようなことはしていない。また、植木副部長とのやりとりは1回に過ぎず、これに要した時間も僅か18分程度のことであった。しかも、原告が勤務を継続する意思を表示して以降は一切上記選択肢について言及していないのであって、およそ被告会社の行為が違法とされる余地はないものである。”

 

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” (5)「2(2)原告には退職すべき理由がなく、本件退職勧奨は申入れをしたことに基づいていること」と題する項について
否認する。
原告の勤務態度に特段問題がなかったことは被告会社も同じ認識であり、したがって被告会社として原告に退職して欲しいなどという考えは一切なかった。しかしながら、原告から甲11による申入れがなされ、そこにおいて被告会社で勤務することが精神的に大変苦痛であるとの訴えがあったが、社員が公私共に充実感をもって働けることを何よりも重視している被告会社にとっては、そのように苦痛を感じている社員がいること自体看過できない問題であった。しかしながら、原告が訴える内容からすると、原告自身が被告会社から直接何らかの攻撃を受けているということではなく、会社の社風自体がストレスになっているという趣旨と理解できたため、そうであれば原告に充実感をもって生きてもらうためには、社風が原告にとってストレスとならない他の会社に移籍することも選択肢の一つではないかと考えたものである。ただ、すぐに他の勤務先が見つかるかどうかも分からないため、生活保障の観点から300万円の支払いを提案したものである。
これまで具体的証拠をもって示してきたとおり、被告会社は社員の幸せを何よりも重視し、そのためにあらゆる努力を惜しまないところが非常に特徴的な会社である(丙24の1~3 ヘルスマネジメント格付最高ランク、テレワーク先駆者百選総理大臣賞、健康経営銘柄2019、健康経営優良法人・ホワイト500)。このため、原告から申入れがあった際も、社員である原告のことを親身に考えた結果、原告の年間給与を超える300万円という破格の金額を提案したものであるが、その提案をもって被告会社が原告の退職を望んでいるように受け取られたのであれば、被告会社にとってまことに心外である。
なお、既述のとおり原告が大阪弁護士会に行ったという人権救済申立ての事実を被告会社が初めて知ったのは2015年10月9日のことであり、それより前に行われたやり取りが「大阪弁護士会へ人権救済申立てをしたことを理由して行われたもの」であるはずがない。”

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” 記

誤: 原告 びっくりもですけど

植木 しんどいなあと     (原告書面83頁)

正: 原告 びっくりもですけど

植木 びっくりもですけど?

原告 しんどいなあと

植木 しんどいなあと

 

(3)「1(3)小括」と題する項について

否認する。

まず、そもそも原告が大阪弁護士会に申立てを行った事実を被告会社が初めて知ったのは、2015年10月9日に大阪弁護士会から書面で通知が届いた時である。したがって、「原告の直属の上司たる植木氏を利用して、原告に圧力を加え、人権救済申立てを取り下げるよう原告に求めるなどした」などというのは、全く事実に反する。

電話面談における具体的やり取りから明らかなように、植木副部長は、原告が行った甲11の申入れを受けて、管理職として原告の悩みやストレスの具体的内容を把握して必要な対応をとりたいとの想いから原告に電話したものである。しかるに、原告は電話をかけてこられることにプレッシャーを感じるなどと述べ、植木副部長の想いと平行線をたどっていることが見て取れる。

 

(4)「2(1)植木氏による電話面談での退職勧奨」

2015年8月10日に植木副部長と原告とが内線電話で話したこと、そのやり取りの具体的内容が概ね原告書面88頁後ろから10行目~93頁4行目のとおりであることは認め、原告がやり取りの内容を要約した部分については否認する。

原告は「申入書についてのやりとりをやめたい旨訴えたにもかかわらず」と主張するが、具体的やり取りのうちどの部分がそれに該当するのか不明である。

この日のやりとりは、全社員が年2回提出する評価表のコメントにおいて、原告が「しんどいです」と述べていることを受けて、このままであれば原告は精神的につらい状況が続くのではないかとの配慮から、会社から300万円を受け取って退職するという選択肢を示したものである。そして、「別にやめてほしいんじゃなくて、根本解決しようと思ったら」という植木副部長の発言からもうかがえるように、会社として積極的に退職して欲しいとの意思を示したものではないし、「一つは現状のままこのまま勤められると」として、このまま勤務を継続するという選択肢も示している。したがって、「原告に対し、退職を求め促す行為に及んだ」というのは事実に反する。”

 

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