フジ住宅の訴訟と裁判 第6準備書面

今回もフジ住宅の訴訟・裁判に関する情報をお届けします。

”3 「職場環境配慮義務」との主張に対して
(1)「職場環境配慮」というのは感情的反発の言い換えに過ぎない
原告は「職場環境配慮義務」を会社が労働者に対して負うと主張し、逃げられない環境である職場で優位な立場にある会社が労働者に対して政治的な内容を含む資料を多量に配布することは労働者の人格や自由への配慮を欠き違法である旨主張する(原告第14準備書面13頁以下等)。
しかし、本件で、原告の人格や自由への配慮を欠いている資料配布であると主張されているものは、被告らが縷々述べているとおり、ヘイトスピーチでもなく、人種や民族への差別(助長)を内容とするものでもなく、政治的見解や歴史認識が内容となっているものである。「教科書動員」と分類される資料もそうである。
そして、資料の内容が、保守的な論調であるがゆえに原告から問題にされていることも明白である。もし社内配布資料が、リベラルあるいは左派的な内容であるとすれば、それと親和性のある思想を有する原告は全く問題視しないのであろう。
つまり、原告の本件の損害賠償請求は、「資料の記載が、異なる思想を有する自分にとって、内容的に不快」というところを実質的理由としている。
結局のところ、原告が受けたという被害の実体は、表現内容に対する感情的反発や政治思想的反感なのである(「差別的な言動にさらされずに就労する権利、人格的自律権、職場において自由な人間関係を形成する権利」という被侵害利益の主張への疑問については後述)。”

次回も第6準備書面について、続きから紹介していきます。

フジ住宅の訴訟と裁判 第6準備書面

今回もフジ住宅の訴訟・裁判に関する情報をお届けします。

” 上記の論述は、政府(国)が国民の表現行為を直接に規制しうるかという議論に関するものであり、被告らの表現行為が原告に対して不法行為となるかという私人間の問題である本件とは、想定する局面が若干異なる。
しかし、仮に本件訴訟で被告らの資料配布が不法行為や債務不履行等に該当すると判決で認定された場合、同種の表現の自由の行使は、違法性のある行為として間接的にではあるが法的に禁じられた状況となる(判決理由が尽くされたとしても、適法な資料配布と違法なそれの境界を明確に示すことは非常に困難であろうから、企業社会での類似の言論行為にも、多大な萎縮的効果をもたらすと予想されることも付言しておきたい)。
さらに、次の段階では同種の「違法」表現行為の差止請求訴訟という形で、裁判所という国家機関の助力をもって私人の表現活動が事前に直接規制される事態に発展する。
表現の自由と名誉やプライバシーの関係が問題となった「北方ジャーナル」事件や「エロス+虐殺」事件も、民民の紛争ではあるが、表現の自由への国家規制とイコールの問題として憲法論の観点から極めて慎重な考慮がなされたことに留意されねばならない。”

次回も第6準備書面について、続きから紹介していきます。

フジ住宅の訴訟と裁判 最新情報

今回は、フジ住宅の裁判に関する最新情報を紹介します。
以下内容はフジ住宅の公式ブログからの引用です。

”11月1日に開かれた第13回目の当裁判に、前回に引き続き、約70名の、弊社を応援してくださる皆様が、傍聴券獲得の抽選にお越しくださいました。
今回、抽選の最終番号(125)から判断して、原告側を超える人数の皆様が、弊社応援に駆けつけてくださっている情況が、前回よりも顕著になっている事が分かり、大変心強く思っております。
おかげさまで、前回に引き続き、傍聴席の過半を弊社支援者で占める事ができたと報告を受けています。
皆様、本当に有難うございます。この場をお借りして、心より御礼申し上げます。

前回の繰り返しになりますが、弊社は今も社員である原告が毎回出廷していることを勘案して、裁判傍聴に当社社員を一人も派遣せずにこれまで裁判を進めてまいりました。今回も同様で、傍聴席に弊社社員は一人もおりません。
裁判の状況を聞かれた皆様の中で、当方を支援してくださる機運が高まり、こうして多くの皆様が傍聴に来てくださるようになって、前々回、前回、今回と、
三度続けて、傍聴席の過半を確保してくださいました。本当に有り難く、社員一同心より感謝、感激しております。

今回の期日に、当方弁護士が提出した『フジ住宅 第8準備書面』、『今井会長 第7準備書面』及び、法廷で弁護士が朗読したその『要旨』を以下に掲示しています。
どうぞご一読いただけますと幸いです。

今回、当方弁護士は、会社が裁判開始前1年間に、全社員対象に配布した「経営理念感想文」の分厚い束2662ページを、2つのファイルに綴じて机上に置き、原告側が「膨大な量のヘイト文書」などと喧伝している「中韓」への批判的な文章は、何と全体の0.03パーセント、その『分厚い2662ページの束』の1ページにも満たないことを、法廷で、傍聴人の皆様によく分かるように示してくれたと報告を受けています。
これまで、何度か原告側弁護士は、法廷で同様に文書の束を積み上げ、その大半が彼らが言う「ヘイトハラスメント文書」であるかのような印象操作をしてきた事は明らかで、今回、当方弁護士によって、起こされている裁判の本質が、象徴的に示された瞬間であったと思います。
「御社がおかれている情況がよく分かった。」と、多くの支援してくださる皆様からの声が会社に届き、嬉しく思っています。

弁護士の朗読内容のその部分は、以下の通り「フジ住宅 第8準備書面 要旨」にあります。ぜひ本文全体をご覧下さい。
「被告会社が配布している経営理念感想文等の中には、確かに中国・韓国を批判する表現が含まれていることはあるが、それは全体の中のごくごく一部である。例えば原告の訴訟提起前1年間に配布された経営理念感想文のうち、中国・韓国を批判する内容を含むものが3通あるが、その3通も全文が中国・韓国の批判というわけではない。頁数的に言えば、中国・韓国の批判は全体の中のごくごく一部に過ぎず、全てあわせてせいぜい1頁にも満たないのであり、全ページに占める割合は2662頁中のうち1頁、わずか0.03パーセントである。」

また、今回、当方弁護士は、原告弁護団が弊社について「ヘイト行為を繰り返している」と訴えている、弊社社員対象の無償の書籍、及び各種資料の配布(ただし読むことを強制していない。)の内容、方法について、原告や、原告弁護団の訴えとは正反対に、どれほど多くの社員がそれを支持し、感謝の気持ちを表明してくれているか、裁判官に正確に状況を把握していただきたく、弊社社員が、弊社配布資料に感謝してくれている内容の「経営理念感想文」を裁判が始まる前、裁判開始以後併せて250名以上分を、前々回の期日に、裁判所に「証拠」として提出していることについて、再度の正確な認識を裁判官に求めてくれています。

弊社が当裁判に負けることは、これほど多くの社員が支持してくれている弊社の仕事の進め方、それを通じて広く社員が見識を高めてくれることを期待する社員育成の方法が採れなくなることを意味しており、弊社としましては、妥協できる余地は一切なく、弊社の存立に深く関わるこの経営のあり方を続けたいと思っております。

また、当方を応援して下さる方の中には、当裁判の帰趨が非常に重要な歴史的意味を持っており、日本国民として絶対に負けられない裁判であると言ってくださる方も多くおられます。
弊社と致しましても、万が一当裁判に負けるような事があれば、日本人全体の人権や、言論の自由が大きく毀損される事になるとの危機感を共有しており、当社経営理念「社員のため、社員の家族のため、顧客・取引先のため、株主のため、地域社会のため、ひいては国家のために当社を経営する」をしっかりと守り、「ひいては国家の為に当社を経営する。」と述べている事に、嘘、偽りの無い姿勢を貫きたいと思っています。

なお、次回裁判期日についてですが、現在、裁判所が原告、被告双方に「和解」の打診をしておられ、まだ決まっていません。次回期日が決まり次第、このブログで速やかに皆様にお知らせいたします。どうぞ、皆様、引き続きご支援、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

(編集責任 フジ住宅株式会社)”

フジ住宅の訴訟と裁判 第6準備書面

今回もフジ住宅の訴訟・裁判に関する情報をお届けします。

” カ 市川正人教授の論考より
上記のような被告今井の主張の正当性は、表現の自由と人権の関係について述べた市川正人教授の論考「表現の自由②-表現の自由と「人権」-」(判例時報社『法曹実務にとっての近代立憲主義』47頁以下)中の、人種差別や人種等を異にする集団に対する暴力行為の煽動を処罰する法律(ヘイトスピーチ規制法)の合憲性に関する下記のような論述(同書61頁以下)によっても裏付けられる。
「『思想の自由市場』論からすれば、言論には言論で対抗するのが原則であり、言論で対抗する余裕がないような緊急の場合にのみ言論が禁止できるのが原則である。そうすると、差別や暴力行為の煽動についても、少なくとも言論が重大な害悪を発生させる蓋然性が明らかであり、かつ、害悪の発生が差し迫っている場合にのみ言論を処罰しうるという『明白かつ現在の危険』の基準が妥当すべきであるということとなろう。」
「ヘイトスピーチについては、『思想の自由市場』論、対抗言論の原則は妥当しない、あるいは、限定的にしか妥当しないという批判がある。(…中略…)しかし、人種差別の煽動に対しても、基本的に差別の不当性を主張する言論によって対抗することが可能である。」
「また、そもそも『思想の自由市場』論においては、本来、だれでもが思想の自由市場に登場することを禁止されていなければいいのであって、表現行為のしやすさや思想内容の受け入れやすさは問題とならない。それゆえ、実際に反論することが困難であるとか、反論が有効性をもたないがゆえに『思想の自由市場』論は十分には機能しないので、当該表現を禁止すべきだという主張は、『国家の規制によってこそ健全な思想の自由市場が確保されるという理解』をとるものであって、『思想の自由市場』論に立つ表現の自由論に大きな修正を加えようとするものである。しかし、こうした立論を安易に認めれば、『〈思想の自由市場〉の実質的な保障』、『表現の自由を守るため』といった名目で、国家による広い範囲の表現行為の禁止が認められることになり、表現の自由の保障は大きく損なわれることになるであろう。」”

次回も第6準備書面について、続きから紹介していきます。

フジ住宅の訴訟と裁判 第6準備書面

今回もフジ住宅の訴訟・裁判に関する情報をお届けします。

” オ 思想内容を否定することへの違和感
さらに指摘すると、原告の被告らへの批判の中には、表現の許容性を超えて、「そういう思想や考え方、歴史観自体がけしからん。間違っている」というような主張すら散見される。例えば、原告第14準備書面49頁以下では、被告らの配布資料に見られる歴史認識について、原告は、「歴史修正主義」とレッテルを貼り、「ヘイトスピーチ、ヘイトクライム、虐殺、戦争へと人を誘導するもの」等と断罪している。また、原告第14準備書面55頁以下や、原告第6準備書面22頁以下では、日本人の美点や日本の歴史の誇るべき点を語ることも、人種差別的思想のあらわれであり不当なメッセージとなるかのように主張されている。そして、それらの主張は実質的に、被告らの資料配布が内容的に違法な表現であるという理由の一つの支えとされている。
原告のそういった考え方自体が被告今井には到底理解、共有できないが、何より、訴訟という法的な議論の中で、かように思想信条の内容そのものにまで否定的評価が強調され違法評価の理由とされることに、被告今井としては、強い違和感を抱く。
そういった原告主張の特徴からすると、本件訴訟の実情は、ヘイトスピーチ論や職場環境配慮義務という理論に名を借りた一種の思想的政治的闘争であるとみなさざるをえない。
被告今井としては、本件訴訟において、思想や歴史認識自体の当否に立ち入って闘争するつもりもない。それらは、裁判所に持ち込まれるのが相当なものでは全くなく、「思想の自由市場」に委ねられるべき次元の事柄である。
被告今井としては、指摘されている資料の記載が、配布すること自体が許されないような類のものか、そして原告個人の権利利益を侵害するものであるのかを、文脈も踏まえて冷静に評価いただくことを求めるのみである。”

次回も第6準備書面について、続きから紹介していきます。