フジ住宅の訴訟と裁判 第7準備書面

今回もフジ住宅の訴訟・裁判に関する情報をお届けします。

”「被告今井の指示する政治的文書により、原告の属性に対し敵対的環境が形成され、原告の人格権やプライバシーが侵害されていれば」という記述からすると、前記「人種差別・民族差別を助長する文書の配布行為」の主張と同様、被告らの文書配布行為によって原告の在日コリアンという属性に対する差別的言動が蔓延する職場環境が形成され、それによって原告の人格権やプライバシー権が侵害されたという趣旨のようにも読めるが、政治的文書の配布によってなぜ在日コリアンに対する差別的言動が蔓延することになるのかの説明がない。
また、「労使関係等不均等な力関係における一方的かつ継続的に配布される評論を受領しないという対応は不可能であるから、業務とは関係のない政治的文書を職場において配布する行為自体、労働者の自由な人格権を侵害する」という記述からすると、見たくもない政治的見解の閲読を事実上強制されることが原告の人格権を侵害するという趣旨にも読めるが、被告会社準備書面3の10~11頁に述べたとおり、被告らの配布する文書を閲読するかどうかは各従業員の自由であることは周知されており、原告自身、自らを配布対象から外すことを申し出て、それ以降文書を受領していないのである。原告はこの点について何の反論も行わないまま、依然として閲読を強制されたかのような主張を繰り返しているのである。

4 「教科書アンケートへの動員行為」について
原告は、「原告が、その活動に参加を拒否したことを理由とする不利益処分等を受けることがない場合でも、事実上政治動員することに等しい方法で教科書アンケートへの参加を動員する行為は、労働契約上の義務を超えた行為への動員であり、それ自体で違法性を帯びる」と主張するが(原告第14準備書面63~64頁)、結局のところ被告会社の具体的にいつ、いかなる行為をとらえて違法であると主張しているのか今に至るも定かでない。
これも被告会社準備書面3の12~13頁に詳しく述べているとおり、原告は平成26年以降教科書アンケートへの参加をしていないのであり、自ら参加をするかどうかは自由であることを認識していたものである。原告の主張によれば、参加自体は自由であっても誘いかけること自体が違法であるという趣旨にも読めるが、それがなぜ違法になるのかの説明はない。”

次回も第7準備書面について、続きから紹介していきます。

フジ住宅の訴訟と裁判 第7準備書面

今回もフジ住宅の訴訟・裁判に関する情報をお届けします。

”   被告会社は、「本件文書配布行為により在日コリアンに対する差別的言動が職場内に蔓延するというようなことがあれば、『在日コリアンとして人種差別・民族差別的言動にさらされずに就労する権利』が侵害されたということもあり得るが、かかる事実はないし、原告からもそのような主張はされていない」とする(被告会社準備書面4の12頁)。しかし、本件文書配布行為により被告会長・被告会社・同僚等による人種差別・民族差別を助長する言論が職場に蔓延していたことについては、すでに原告第11準備書面25頁以下で述べたとおりである(また、この点については、板垣意見書6頁でも触れられており、「職場環境の醸成効果」と表現されている)。また、原告自身も、「韓国」「韓国人」に対する攻撃が一緒に働く人々によって次々に表明されることで、ストレスを感じさせられており、明らかに原告にとって敵対的な職場環境が形成されていた(板垣意見書20頁)。以上のように、本件資料配布行為により人種差別・民族差別を助長する言論を職場に蔓延するという効果を有していたものである。」

3 「政治的見解等の配布行為」について
原告は、「政治的文書の配布対象が、配布に反対する特定の個人に向けられたものではなくとも、被告今井の指示する政治的文書により、原告の属性に対し敵対的環境が形成され、原告の人格権やプライバシーが侵害されていれば、配布対象が誰か無関係であり、配布態様が強制の要素が存在しなくても、労使関係等不均等な力関係における一方的かつ継続的に配布される評論を受領しないという対応は不可能であるから、業務とは関係のない政治的文書を職場において配布する行為自体、労働者の自由な人格権を侵害するから、大多数の労働者が、同意していても特定の個人に対する人格権侵害が成立すれば、違法と評価される」(60頁)と主張するが、その意味するところを読み解くのが非常に困難な記述であり、今もって何がどういう理由で違法であると主張するのかを明らかにできていない。”

次回も第7準備書面について、続きから紹介していきます。

フジ住宅の訴訟と裁判 第7準備書面

今回もフジ住宅の訴訟・裁判に関する情報をお届けします。

”そして、被告会社の従業員が提出した経営理念感想文等において、一部に必ずしも適切とは言い難い表現が含まれていたとしても、当該文書全体の文脈もあわせて考慮すれば人種差別的とまでは言えないものがほとんどであり、少なくとも職場に「人種・民族差別を助長する言動が蔓延」しているとまではおよそ言い難い。
被告会社には、既に述べたとおり役員に元在日韓国人が複数存在しており、被告らの人種差別を許さないという姿勢は常日頃から職場内にも浸透しており、従業員らもこの点は十分理解していた。したがって、被告らが配布する文書のごく一部に原告が指摘するところの人種差別的表現が仮に含まれていたとしても、それによって人種差別・民族差別が助長され、職場内に「人種差別・民族差別を助長する言論が蔓延」するような効果が発生するような結果にはならないのである。その意味で、被告らに差別意図がないこと、そのことを普段の姿勢から従業員も理解していたことは、職場環境配慮義務違反が認められるかどうかの判断において重要な考慮要素となり得るのである。
(4)なお、原告の損害賠償請求が認められるためには、被告らによる文書配布行為によって職場内に「人種差別・民族差別を助長する言論が蔓延」することになった結果、原告個人が損害を被ったということが必要になる。この点、原告自身、「人種民族差別的な職場環境」が、すなわち「原告に対する敵対的な職場環境」であると主張している(原告第14準備書面20頁)ことからすると、原告は、やはり自らの属性である在日コリアンを差別するような表現が蔓延する職場環境が形成されたことによって損害を受け、その賠償を請求しているということになる。
この点について被告会社は繰り返し指摘してきたが、原告からは今に至っても、どの表現が在日コリアンに対する人種民族差別的言動にあたるかについて具体的特定がない。原告第14準備書面においても、原告はこの点に関する被告会社の指摘に対し、下記のとおり「かみ合わない」主張を行うのみで、被告会社の問いに正面から回答していないものである(原告第14準備書面45頁)。
記”

次回も第7準備書面について、続きから紹介していきます。

フジ住宅の訴訟と裁判 第7準備書面

今回もフジ住宅の訴訟・裁判に関する情報をお届けします。

”2 「人種差別・民族差別を助長する文書の配布行為」について
(1)原告は、被告らが配布した資料の中に「韓国人や中国人の民族性を直接非難する差別文書、人種差別・民族差別を助長する言論が多く含まれていた」ことにより、「人種差別・民族差別的な言論が記載された感想文等を提出する従業員が現れるなど、職場の中で人種差別・民族差別を助長する言論が蔓延するという効果が生じていた」と主張する(40頁)。
(2)しかしながら、原告が「人種差別・民族差別的言論」であると主張する表現のうち、韓国に言及した表現のほとんどは、従軍慰安婦問題等日本・韓国の両国間に横たわる問題の対応をめぐって、韓国という国家を批判したり、韓国人の国民性を批判したりするものであり、「人種差別・民族差別的言論」とは言えない。
原告は、韓国という国家や韓国人の国民性についての話を、民族性に対する非難と混同し、同列に論じようとして躍起になっているが(その目的は、前述のとおり従軍慰安婦問題等について、自らの信条と対立する見解の表明を萎縮させようとするところにあると考えざるを得ない)、民族性に対する非難と、国家や国民性に対する批判とは、当然のことながら明確に線引きされるべきである。
(3)また、被告会社において、少なくともそこで就労する従業員の法的権利を侵害するほどに、「人種差別・民族差別を助長する言論が蔓延」していたとは到底言えない。
原告は、被告らによる文書配布行為によって「職場の中で人種差別・民族差別を助長する言論が蔓延するという効果が生じていた」と主張するが、被告会社内で実際に生じた「効果」として挙げているのは、被告会社の従業員が提出した感想文等に、韓国・中国についての言及があるということのみである。例えば、職場における従業員同士の会話において人種差別的内容が日常的にあらわれるようになった、というような主張はなされていない。”

次回も第7準備書面について、続きから紹介していきます。