今回もフジ住宅の訴訟・裁判に関する情報をお届けします。
”「被告今井の指示する政治的文書により、原告の属性に対し敵対的環境が形成され、原告の人格権やプライバシーが侵害されていれば」という記述からすると、前記「人種差別・民族差別を助長する文書の配布行為」の主張と同様、被告らの文書配布行為によって原告の在日コリアンという属性に対する差別的言動が蔓延する職場環境が形成され、それによって原告の人格権やプライバシー権が侵害されたという趣旨のようにも読めるが、政治的文書の配布によってなぜ在日コリアンに対する差別的言動が蔓延することになるのかの説明がない。
また、「労使関係等不均等な力関係における一方的かつ継続的に配布される評論を受領しないという対応は不可能であるから、業務とは関係のない政治的文書を職場において配布する行為自体、労働者の自由な人格権を侵害する」という記述からすると、見たくもない政治的見解の閲読を事実上強制されることが原告の人格権を侵害するという趣旨にも読めるが、被告会社準備書面3の10~11頁に述べたとおり、被告らの配布する文書を閲読するかどうかは各従業員の自由であることは周知されており、原告自身、自らを配布対象から外すことを申し出て、それ以降文書を受領していないのである。原告はこの点について何の反論も行わないまま、依然として閲読を強制されたかのような主張を繰り返しているのである。
4 「教科書アンケートへの動員行為」について
原告は、「原告が、その活動に参加を拒否したことを理由とする不利益処分等を受けることがない場合でも、事実上政治動員することに等しい方法で教科書アンケートへの参加を動員する行為は、労働契約上の義務を超えた行為への動員であり、それ自体で違法性を帯びる」と主張するが(原告第14準備書面63~64頁)、結局のところ被告会社の具体的にいつ、いかなる行為をとらえて違法であると主張しているのか今に至るも定かでない。
これも被告会社準備書面3の12~13頁に詳しく述べているとおり、原告は平成26年以降教科書アンケートへの参加をしていないのであり、自ら参加をするかどうかは自由であることを認識していたものである。原告の主張によれば、参加自体は自由であっても誘いかけること自体が違法であるという趣旨にも読めるが、それがなぜ違法になるのかの説明はない。”
次回も第7準備書面について、続きから紹介していきます。