フジ住宅の訴訟と裁判 第10準備書面

今回もフジ住宅の訴訟・裁判に関する情報をお届けします。

 

” 平成27年(ワ)第1061号 損害賠償請求事件

 

令和元年7月18日

 

大阪地方裁判所堺支部第1民事部合議C係 御中

 

被告今井光郎訴訟代理人

弁護士         中  村  正  彦

 

被告今井の方から、今回原告が出されました第19準備書面への今後の反論内容として予定しているところを簡単に述べさせていただきます。

 

1 問題ある文書が半年間で約400個も存在するとの主張に対して

原告は、2013年の2月から8月と10月に配布されただけで、385個のヘイトスピーチないし人種的民族的差別を助長する記載のある問題文書が存在したと主張しますが(原告第19準備書面3頁)、「問題がある」というのは原告が一方的に決めつけて数えあげた結果に過ぎません。原告が指摘する記述は、国家間の歴史的政治的課題や、現代韓国の実情やエピソードを題材とした政治的意見論評であり、差別言論ではありません。言葉狩りをするのではなく、一つ一つの記述の文脈と真意が丁寧に吟味されるべきです。

 

2  教科書展示会への参加の「勧奨」が違法評価される基準

原告は、本件での教科書展示会への参加の「勧奨」について、退職勧奨が違法となる場合を「せいぜい態様等において、社会的相当性を逸脱した態様での半強制的ないし執拗な勧奨行為があったような例外的な場合にのみ」と限定的に判断した下関商業高校事件の最高裁判例の基準を用いて評価することは、場面が違うのだから不当であると主張します(原告第19準備書面7頁)。

しかし、「退職」という労働者にとってその地位を失う最も重大な行為に関する勧奨ですら、違法とされる場面はそのように限定されるのです。

「教科書展示会への参加」を「退職」と比べたとき、前者の方が重大性は低いことは明らかですから、教科書展示会への参加勧奨が違法とされるのは、下関商業高校事件の基準よりもさらにいっそう狭く限定されるのではないでしょうか。”

 

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フジ住宅の訴訟と裁判 第10準備書面

今回もフジ住宅の訴訟・裁判に関する情報をお届けします。

 

” なお、日本経済新聞の記事(丙33)によれば、ハーバードの研究者が唱えた「心理的安全性」、すなわち「この職場なら何を言っても安全」という感覚を構成員が共有することにより、職場としてより高い成果をあげ続けることが研究により判明しているとのことである。また、同記事によれば、カリフォルニア大学の研究で、「自分は幸福だ」と感じている人はそうでない人より仕事の生産性が31%高く創造性は3倍になることが分かったとのことである。被告会社は、まさに「心理的安全性」を高めること、社員が「自分は幸福だ」と感じられることを根本において経営を行っており、被告会社がこれまで受けた表彰の数々からすれば、まさに日本におけるこの点のリーディングカンパニーと言うことができる。本件資料配付も上記基本方針の中で行われているのであり、「業務に直接関係がない」として法が資料配付を規制するようなことになれば、従業員の幸福感を高めようとする企業に対する萎縮効果を生むことになり、ただでさえ世界の中で低いと言われる我が国における従業員の幸福感を高めようとする動きを阻害することになりかねないのである。

 

以 上”

 

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フジ住宅の訴訟と裁判 第10準備書面

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” そして、かかる原告からの指摘および質問に対し、植木副部長は「主戦場」に対する否定的評価が書かれた論説文を資料として送ることによって答えている(丙30の1~2 植木副部長のメール及び添付資料)。このように、植木副部長は、「主戦場」の評価について自らの見解は原告の見解とは異なる旨表明しているものの、原告による見解の表明自体については一切批判等を行っていない。

このように、政治的問題について異なる見解を表明しあえる職場環境において、法が介入して一方の見解の表明を規制する必要はないものであり、またそのような介入は結果として一方の見解に与することとなる危険なものであって厳に慎むべきである。

 

3 日々の業務と直接関わらないことを理由に違法とはなり得ないこと

これまで繰り返し主張してきたとおり、被告会社においては、「明るく元気にイキイキ・のびのびと仕事上も人生上もやってもらう」ことが何より大事で、それがひいては会社の発展につながるという考え方を強く持ってそのための施策を種種実施しているのであり、それが被告会社を大きく成長させた源であり、被告会社の大きな特徴でもある。だからこそ、被告会社においては日々の業務と直接は関係しない資料が配付されることもあるし、「質問表」においても、業務上の悩み等だけでなく、個人的なことでも書いて貰って良いとされているのである。日々の業務とは直接関係がないという理由で資料配付等が違法となってしまえば、それは被告会社の存在自体を法が否定することに等しいのである。

この点、原告自身が、上記質問表において、慰安婦問題を扱ったドキュメンタリー映画に触れてその視聴を勧めるという、日々の業務とは直接関係しない記載をしているのである。これは、自ら好ましいと考える政治的見解から作成された映画を他者に視聴してもらい、理解してもらうことにより、自らのストレスや不安を軽減しようとするものに他ならず、その意味では原告も、日々の業務に直接関わらないことであっても自由に相談してもらえば良いという被告会社の姿勢を理解し、その理解に基づき被告会社の制度を利用しているのである(丙31 植木副部長からの回答に対する原告からのメール)”

 

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今回もフジ住宅の訴訟・裁判に関する情報をお届けします。

 

” 平成27年(ワ)第1061号

損害賠償請求事件

 

準備書面10

 

令和元年  7月  4日

 

フジ住宅株式会社訴訟代理人

弁 護 士  益  田  哲  生

 

同    勝  井  良  光

 

同    中  井     崇

 

1 被告会社における「質問表」の制度

被告会社においては、社員が「質問表」に質問事項を記入し、上司に提出するという制度を実施している。この「質問表」の制度は、社員が「明るく元気にイキイキ・のびのびと仕事上も人生上もやってもらう」ことを目的としており、業務上の悩み等はもちろんのこと、個人的なことで困っていること、悩み、ストレス、不安等を書いてもらって構わないということになっている。

 

2 自由に自らの政治的見解を表明できる職場環境

原告は、2019年5月7日付けの質問表(丙29)を、直属の上司である植木副部長に提出したが、その中で「主戦場」というドキュメンタリー映画の視聴を勧めた上で、「副部長は、上の人が言うことに疑問や矛盾を感じていないのでしょうか?そのとおりにしていたら、みんな幸せになれると本気で思っていますか?」と問いかけている。

この「主戦場」というドキュメンタリー映画は、慰安婦問題等の政治問題を扱っており、原告の認識では被告会社における「上の人」の見解と対立する立場から描かれたもののようであり、恐らくは原告の見解と親和的な作品であると考えられる。原告は、そのような作品の視聴を上司である植木副部長に勧めた上で、被告会社における「上の人」の見解には疑問や矛盾があると指摘しているものである。

この原告自身が提出した「質問表」の内容がいみじくも示しているように、被告会社においては、ある政治的立場・見解が一方的に強制されてそれに反する見解の表明ができないような環境にはなく、社内で配布される資料等における見解と対立する意見であっても、自由に表明することができる環境なのである。”

 

次回も続きから紹介していきます。