フジ住宅の訴訟と裁判 第10準備書面

今回もフジ住宅の訴訟・裁判に関する情報をお届けします。

” 平成27年(ワ)第1061号
損害賠償請求事件

準備書面10要旨

令和元年7月18日

フジ住宅株式会社訴訟代理人
弁 護 士  益  田  哲  生

同    勝  井  良  光

同    中  井     崇

1 被告会社においては、社員が「質問表」に質問事項を記入し、上司に提出するという制度を実施している。この「質問表」の制度は、社員が「明るく元気にイキイキ・のびのびと仕事上も人生上もやってもらう」ことを目的としており、業務上の悩み等はもちろんのこと、個人的な悩み等を書いてもらって構わないということになっている。
そのような中、原告が直属の上司である植木副部長に、2019年5月7日付けで提出した質問表には、次のように書かれている。

「ドキュメンタリー映画『主戦場』をご存知ですか?こっそりと見に行かれてはどうでしょうか」
「副部長は、上の人が言うことに疑問や矛盾を感じていないのでしょうか?そのとおりにしていたら、みんな幸せになれると本気で思っていますか?」

この原告自身が提出した「質問表」の内容がいみじくも示しているように、被告会社においては、ある政治的立場・見解が一方的に強制されてそれに反する見解の表明ができないような環境にはなく、社内で配布される資料等における見解と対立する意見であっても、自由に表明することができる環境なのである。
そして、原告からの質問表に対し、植木副部長は、「主戦場」の評価について自らの見解は原告の見解とは異なる旨表明しているものの、原告による見解の表明自体については一切批判等を行っていない。
このように、政治的問題について異なる見解を表明しあえる職場環境において、法が介入して一方の見解の表明を規制する必要はないものであり、またそのような介入は結果として一方の見解に与することとなる危険なものであって厳に慎むべきである。

2 被告会社においては、「明るく元気にイキイキ・のびのびと仕事上も人生上もやってもらう」ことが何より大事で、それがひいては会社の発展につながるという考え方を強く持ってそのための施策を種種実施しているのであり、それが被告会社を大きく成長させた源であり、被告会社の大きな特徴でもある。だからこそ、被告会社においては日々の業務と直接は関係しない資料が配付されることもあるし、「質問表」においても、業務上の悩み等だけでなく、個人的なことでも書いて貰って良いとされているのである。そして、原告自身も、上記質問表において、慰安婦問題を扱ったドキュメンタリー映画に触れてその視聴を勧めるという、日々の業務とは直接関係しない記載をしているのである。原告自身、被告会社の姿勢を理解し、その理解に基づき被告会社の制度を利用していると言える。

以 上”

次回も続きから紹介していきます。

フジ住宅の訴訟と裁判 第10準備書面

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” 4 顕わになった本件訴訟の本質、原告の目的
原告側と異なり、被告らは思想そのものの当否を議論したいわけではありません。思想や信念の違いが埋まらないのは、やむを得ないことです。
被告らとして指摘したいのは、今回の原告の主張により、本件訴訟の本質や原告の目的が、「特定の思想に対する抑圧」であることが顕わになったという点です。
原告が述べるところは、「被告今井は『大日本帝国』の思想を信奉する者」で、「被告今井が信奉する思想は非常に危険なもの」であり(原告第19準備書面10、12頁等)、そういった危険思想に基づく資料を自ら経営する職場内で多数配布することは職場環境を悪化させるもので違法だというものです。
その主張の本質は、「今井の思想が危険だから広めるな」というものであり、職場環境云々は、実は従たる要素に過ぎません。
もし仮に、今井が配布していた資料が、左派とか革新の思想傾向のものであったならば、原告は決して違法だとは主張しないでしょう。原告の言う「正しい」歴史認識というものに則った資料は、職場環境を悪化させないからです。
しかし、それは露骨なダブルスタンダードであり、フェアな法律論とは言えません。特定の思想表現に対する、訴訟を利用した抑圧です。
政治的な意見や言論に対し、危険思想などとレッテルを貼って弾圧するようなことは決して許さないというのが、現行憲法の表現の自由のはずです。

5 大阪弁護士会の勧告について
原告のなした人権救済申立に対して今般大阪弁護士会がなした勧告の内容には、被告らは承服できません。人権侵害があったかどうかは、今後この裁判で判断されることです。
ただ、弁護士会の今回の勧告書においても、「確かに、被申立人による上記資料配布は、申立人を被申立人の職場から排除することや申立人の人格権を侵害することを直接の目的とするものではなく、また、配布された文書を申立人が受領することが強制されていた事実は認められない。」と事実認定がされている点は正当かつ重要ですので、ここで付言しておきます。

以 上”

次回も続きから紹介していきます。

フジ住宅の訴訟と裁判 第10準備書面

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” 3 今井の有する思想そのものに対する非難に対して

今回の原告準備書面で書きぶりが最も激烈なのは、今井の意図する「自虐史観の払拭」というものに対する思想的な面からの非難です。

原告は、「世界の歴史学の認識」だとか「日本及び世界の歴史学者が認める歴史的事実」として、典型的な東京裁判史観にそのまま則った戦前の日本に対する批判をなしていますが(原告第19準備書面8頁以下)、「世界の歴史学」とか「日本及び世界の歴史学者」とは一体何を指しているのでしょうか。世界と日本のスタンダードとなっているそのような史観や歴史的事実が、本当にあるのでしょうか。

太平洋戦争の評価に関して言いますと、戦勝国が敗戦国日本の戦争犯罪を国際法を無視して一方的に裁いた東京裁判においても、判事の中で唯一国際法の専門家だったインドのパール判事が、開戦に至るまでの経緯を仔細に検討し、「ハルノートのようなものつきつけられたら、モナコやルクセンブルクでも戈をとってアメリカに立ち向かうだろう」と述べて、A級戦犯の被告人全員に対する無罪判決を出し、後世においても評価されています。そのパール判事も歴史修正主義者なのでしょうか。

また、原告は、大日本帝国と戦後の日本国は別であるという前提で、今井の思想を弾劾しますが、今井としては、戦前の日本と戦後の日本の同一性も否定するような議論には全く同意できません。江戸時代以前から、明治期、大正期、戦前、戦中も含めて、我が国の父祖が必死に築いてきたものの積み重ねの上に今の日本の繁栄と平和があると謙虚に受け止め、感謝すべきというのが今井の考えです。”

 

次回も続きから紹介していきます。